1. 物質の相互作用
まずは、素粒子の世界をおさらいする。
●素粒子とは
この宇宙の最小単位である素粒子は大きく分けて二つの種類がある。
フェルミオン:物質を作る。6種類のクオークと6種類のレプトンの計12種類で構成される。
ボゾン:力を伝える。フェルミオンが原子核→原子→分子→・・・を作るためには、フェルミオンをまとめ上げる力が必要であり、ボゾンがその役割を請け負う。身近なものでいうと「光」がボゾンの一例である。「光が粒子同士をくっつける??」という疑問を持ったら素粒子論への入り口です。
もっと詳しくはここで説明している。1. 素粒子の世界 – 基礎知識 – (elementaryparticle-with-a-hangover.blogspot.com)
●物質同士の相互作用とは:電磁気力、重力、強い力、弱い力
我々が狭い道をすれ違う時、肩と肩がぶつかるのはなぜだろう。なぜ我々が手でものを持つことができるのか。なぜ我々は地面に立つことができるのか。つまり、物質同士がすり抜けないのはなぜなのか。
目の前に壁があるとき、我々は別の道を探す。なぜ壁に突進していかないのか。「それはそこに壁があるからだ」、「壁にぶつかったら痛いからだ」。当たり前のことのようであるが、改めてなぜ我々の体は壁をすり抜けないのか。それは壁を構成する原子と、我々の体を構成する原子が反発しあうからである。
原子や粒子同士は引きつけあったり反発しあったりする。これを「相互作用」という。
上述のとおり、壁や我々の体を作る粒子は「フェルミオン」である。そのフェルミオン同士が反発するのは電気の力である。プラスの電気とプラスの電気は反発しあう。マイナスの電気とマイナスの電気も反発しあう。プラスとマイナスの電気は引き付けあう。
我々の体と壁が急接近した時、我々の体の原子の電気と壁の原子の電気が電気的な力で反発しあうのである。これを「電磁気力」という。この電磁気力は、実はボソンである「光」が物質同士の間を行ったり来たりすることで発生している。物質同士が光の粒子「光子」をキャッチボールしているイメージである。
我々の日常生活のほとんどすべての現象は、この電磁気力が源になっている。モノを持ったり、熱湯が熱かったり、空気の対流が起こったり、雷が鳴ったり。
このほかに有名な相互作用は「重力」である。地球に引き付けられたり、潮の満ち引きが起きたり、月が地球の周りをまわったり。重力を引き起こすボゾンは「重力子」と言われているが、まだその存在は未発見である。
この世界にはあと二つの種類の相互作用がある。「強い力」と「弱い力」である。
「強い力」は「電磁気力」よりも強いという意味で、歴史的な経緯でそう呼ばれているが、「センスのない物理ワードランキング」の常連である。この力は原子核を作る。原子はプラスの電気を持つ「原子核」の周りをマイナスの電気を持つ「電子」が公転しているという構造を持つ。原子核はプラスの電気を持つ「陽子」の塊である。プラスの電気を持つ陽子同士がなぜ反発せずギュッと固まっていられるのか。これは、電磁気力の反発力を上回る「強い」力で固められているからである。強い力を引き起こすボゾンは「グルーオン」と呼ばれる。
「弱い力」も同様に「電磁気力」より弱い力という意味の言葉である。これは、不安定物質が放射線を発する原因となる力である。ほかにも、太陽が核融合で燃える仕組みにもこの弱い力が使われている。弱い力を引き起こすボゾンは「Wボゾン」や「Zボゾン」と呼ばれる。
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