2. パウリの排他律とは

 パウリの排他律とはなんなのかを説明する。


●パウリの排他律

1.で述べたように、この世の森羅万象は「フェルミオン」が作る物質が「ボゾン」をキャッチボールすることで生じる相互作用によって引き起こされている。相互作用の種類はたった4種類、「電磁気力」「重力」「強い力」「弱い力」である。この世界のシンプルな仕組みである。

、しかし、実は、この世界には相互作用ではないが、もう一つ特殊な仕組みが備わっている。それが「パウリの排他律」である。

実は粒子には、重なり合えないものと重なり合えるものが存在する。そしてその区分けは、「フェルミオン」と「ボゾン」の区分けと一致する。すなわち、

フェルミオン:重なり合えない

ボゾン:重なり合える

レーザーをご存じだろうか。あれは、コヒーレントな(位相のそろった、もっとざっくりいうといい感じに調和した)光が多数重なり合うことで強度が増した光の束である。これは、光の粒子「光子」がボゾンであり、重なり合えるから可能なのである。

フェルミオンは重なり合うことができない。我々の体がすり抜けないのは、電磁気力による反発力と説明した。ならば、その反発力を超える力で押し付けあったら、いつか原子同士の距離をゼロに縮めて、空間的にぴったり重ねて、さらに押し出せば「すり抜けられる」のではないか?そう想像したことだろう。しかし、これは無理なのである。なぜなら、フェルミオンはぴったり重なり合うことができないという性質を持つからである。フェルミオンは生来のシャイボーイなのである。このフェルミオン同士が他を排除しあう性質のことを排他律といい、この性質を発見した研究者の名前を添えて「パウリの排他律」という。

この排他律はなんの相互作用にも依らないのである。この一段違う不思議さを感じられるだろうか。何か原因があるから反発しあうのではないのである。この世界の本質的な仕組みとして、2個以上のフェルミオン粒子が重なることはできないのである。一つのフェルミオンがある場所を占めているとしよう。そのとき、ほかのフェルミオンはもうその場所を認識しないのである。なんの反発力を感じているわけではないのに、もうそこに空間があることすら気づかず、決してたどり着くことはできないのである(少し叙情的すぎるかもしれない)。

ああ、不思議なり。どうしてこんなことが起こるのか、数式でぜひとも理解したいものである。そしてそれは全然難しくないのである。

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